第一部 第二部 第三部 第四部 終章 後書 絵師 辞典 出口


1         10 11

 

気がついたら僕は多くのスレが散らばる板の中に佇んでいた。
( ^ω^)「ここはどこなんだろう?」
僕は何も自分の事がわからない事に気づいて呆然とした。
辺りを見回す。
僕の居るスレには僕以外にも数人の人々が居た。
みんな無気力な顔をしていて、スレ全体に勢いが無くとても寂れたスレだった。
みんな特にやりたいことも無く、習慣としてここに来ているようだった。
とりあえず僕は近くに居た太り気味の人に声をかけた
( ^ω^)「すいません、ここはどこですか?」
太り気味の人は僕を見ると少し驚いて、抑揚のない小さな声で答えてくれた。
太り気味の男「ここはVIPさ。こんな終わってしまった板に来るなんて、変わったAAだな。」


―――AA、その言葉を聴いた瞬間、僕の頭に映像がうかんだ。

 1「こいつの名前考えてやろうぜww」
 ??「『━━━━』、なんてどう?」
 >>??「(・∀・)ソレダ!」

―――そうだった。僕は2chのAAだった。
だが僕はその思い出した記憶よりもここがVIPだという事に愕然とした。
どういう事だろう。僕は何に愕然としているのだろう。
VIP――――どこか懐かしい気のするその単語。
何故だろう、この閑散とした廃れたこの板がVIPだと知らされた時、とてつもない悲しさを感じた。

( ^ω^)「この過疎板が・・・VIP・・・・?」
太り気味の男「知らなかったのかい?ちょっと前まではVIPって言えば一番2chで活気があったんだけどな・・・。」

太り気味の男の人は何故か悲しげな顔をし自嘲気味に笑った。
僕は太り気味の男の人の話を聞いた。
太り気味の男は「魔少年DT」と名乗った。

昔のVIPを語ることがよほど嬉しいのか、魔少年の声は嬉々としていて、その目には今ではくすんでしまったが過去に燃え盛っていたであろう炎の残滓が覗いていた。

魔少年「俺だって昔はVIPを代表するコテだった。でも、ちょっと離れている間にVIPは終わってしまったんだ」

魔少年は古くからVIPに居るらしく、VIPの事をよく知っていた。
僕は魔少年なら僕の事を知っているのではないかと思って尋ねてみた。

魔少年「君の名前か、君も昔は2chでも有名なAAだったんだ。」

魔少年は少し驚いて僕に応えた。

魔少年「君の名前は―――」

その瞬間、魔少年の手に鉄の手錠がかけられていた。
魔少年の周りを何時の間に現れたのか、黒服の男達が取り囲んでいた。

本能的に僕はその黒服達に恐怖を感じた。

魔少年「お前たちは、ZEN――――ッ!!」

黒服「そこに居るのは我々の著作物だ。勝手に我々が権利を有するキャラクターを使わないでくれるかな?」
黒服の男達が感情をそぎ落とした声で言った。

魔少年「Avexのダミー会社如きがっ―――!!!!」
叫びと共に魔少年の体からスクリプトが溢れた。
瞬時にスクリプトを組みあげ、URLを入力して照準をあわせる魔少年。
手錠をはめられた魔少年の掲げた両腕から田代砲が放たれる。

魔少年「逃げろ、『━━━━』!!!!俺がこいつらを――――」

僕はその声が聞こえた頃にはその場から脱兎のごとく走り去っていた。
背後からは魔少年の悲鳴が聞こえてきたが僕は振り返らなかった。
最後に見た脂肪ででっぷりと太ったその大きな背中が、僕の頭から離れなかった。





NEXT→

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送