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あれから僕はあちこちのスレを徘徊していた。
懐かしい感じのする板、VIPで出会う人々はみんな活気も無く、どこか投げやりな感じのする寂しそうな人たちばかりだった。
話しかけても何も反応してくれない人も居たが、何人かは僕の質問に答えてくれた。

( ^ω^)「教えてください、僕は誰なんですか?」

だが、どんな人も僕の事について聞くと一様に口を閉ざした。
僕は自分の事についてもっと聞いてまわりたかったが、あの黒服達への恐怖から、一つのスレに長居はしなかった。

そんな毎日を過ごしていると、ある日、僕はあるスレでその人たちに会った。

( ^ω^)「すいません、僕の事知ってる人居ませんか?」

何時ものように僕はスレの住人たちに問いかけた。

「馴れ合いうぜーよ」
「かつての主力AAも地に堕ちたな」
「VIPのシンボルがこんな惨めな馴れ合いをするなんてな・・・。」

彼等は冷め切った口調で僕にそう言った。

「コイツ、最近こうやって馴れ合い続けてんだよな。マジキモス。」

( ^ω^;)「本当にわからないんです、教えてください。」

僕は彼等に必死で頼み込んだが、彼等は聞いてはくれなかった。

「んな事より、馴れ合ってる糞どもどうやって潰すよ?」
「Part○○ってついてるスレいらねーよ」
「ガキと女はVIPから出てけよな」

( ^ω^)「・・・・・・・・」

その時、スレに一人のコテが来た。

VIPはコテハンが支えている「相変わらずお前等はそうやって殺伐、殺伐言ってぐだぐだな馴れ合いを続けてるんだな。」

僕はその人にどこかで会った事があるような気がした。
その人の登場によってそのスレのコテや名無し達は騒ぎ出した。

「本物か?」
「Vコテ?偽モンだろ?」

Vコテ「お前等と大佐が馴れ合いを続けてぐだぐだにした結果がこの有様だ。VIPをここまで堕落させてもまだ馴れあいを続けるのか?」

大佐は疲労困憊、VIPはコテハンが支えている。なんだか懐かしい名前だ。
Vコテと他のスレ住人達は煽りあいをはじめた。

Vコテ「お前たちはこのVIPが好きなんだろ?俺はずっとこのVIPを見てきた。お前たちが肯定してきたぐだぐだなVIPを。」

僕は聞いた。
( ^ω^)「Vコテさん、貴方は僕の事を何か知りませんか?」

Vコテ「あ?てめーは何時から馴れ合いの犬になった?突撃の時に真っ先に走り抜けてたお前はどこに行った?」

突撃・・・・。どうだった。僕は突撃があるたびにみんなに呼ばれてそのスレを走り回っていた。
あの頃はともかく走り回るだけでみんなが楽しそうに笑ってくれた。
馴れ合いも殺伐も関係なく、みんなが僕を使ってくれた。

「は?www稲沢の太鼓持ちが何馴れ合い叩いてんだ?ww」
「同じ穴のムジナじゃねーかwwwww死ねよwww」
Vコテ「バーーカ。俺が他所では稲沢を叩いてそれがバレて稲沢と気まずくなったの知らないのかよ」

( ^ω^)「・・・・・・・・」

あおりあう彼等の口調は悪意に満ち満ちていた。
しかし、彼等がどこか嬉しそうにしているのは、僕の見間違いなのだろうか。
僕には馴れ合いが悪い事なのか、殺伐が素晴らしい事なのかわからなかった。
殺伐だろうと馴れ合いだろうと僕はこのVIPが好きだった。

この人なら僕が誰なのか詳しく教えてくれるかもしれない。
しかし、煽りあいで騒がしくなってきたので僕はそのスレを出た。
たとえ自分の事がわかってもあの黒服達に捕まっては全てが終わりだと思った。

Vコテ「お前等がそんなんだから、お前等がそんなんだからAvexなんかに・・・」

久しぶりに聞いた感があるVコテの声は、何故か悲しみに震えているようにも思えた。
さっき彼が僕を見たときに目の端に小さく溜まっていた光る粒が、僕の背中を引きとめようとしていた。

僕はそれを振り切るように別のスレへ移動した。



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