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僕達はあちこちのスレを巡回しながらVIPの出口へと向かっていた。
途中で立ち入ったスレの中で「これからavexの公式ページを叩く」と仲間を募る書き込みをしながら走り続けた。

( ^ω^)「でも、これだけあちこちに書き込んだら、avexに僕たちが突撃する事がすぐにバレてしまうんじゃないですか?」

僕がギコさんに聞いた。

ギコ「ああそうだろうな。だが遅かれ早かれ奴等が俺達の突撃に気付かないハズがない。どうせ気づかれるのなら、人数を増やしておいてすこしでも戦力を増やしておくべきだ。」

ギコさんが感情を込めずに淡々と言った。

VIPの住人の大半が僕達の書き込みに無関心だった。
僕達の書き込みを読む人間もいるが、やがて僕たちのほうを馬鹿にするように見ながら雑談に戻っていく人間も居た。
僕はそんな無気力な住人達を身ながら、もう悲しいと言う感情は感じなくなっていた。
僕自身がこの無気力なVIPに馴れてしまったためだろう。
僕は住人の無気力さよりも自分がその無気力さに慣れて、それをよしとして諦めている事が悲しかった。

僕は走り続けた。
その悲しみを忘れようとするかのようにさらに加速して両手を水平に広げて走り続けた。
僕と一緒に走っていた名無しやコテ、遠くから見ているスレの住人達が驚いたように僕を見た。
それは今まで忘れていた宿題を、連休最後で突然思い出したような、授業前に小テストがあるのを思い出したような、
それでいてどこか嬉しそうな、そんな顔だった。

そして、本当に少数だが、僕らの突撃に協力してくれると言う人たちは居た。
僕が両手を水平に広げて走り始めてからその数はさらに増えていった。
最初は十数人しかいなかった僕達は、何時の間にかその数を五十人以上にまで増やしていた。

ギコ「思ったより集まったな。これだけ集まれば今のVIPなら上々だ。」

そう言ったギコさんの顔は無表情だったが、僕にはギコさんがどこか嬉しそうに見えた。
それはおそらく僕の気のせいでは無いのだろう。一緒に走っていたコテや名無し達もギコさんのその台詞に触発されて、表情に希望をのぞかせていた。

その時、ギコさんの規制銃を握る手が素早く動いた。
突然スレで雑談をしていたハズの名無しの一人が銃を持って僕たちに襲い掛かってきたのだ。
ギコさんの規制銃から発せられた銃弾が命中したその名無しはあっという間に”削除”される。

ギコ「avexの工作員か。二年前ののまネコ騒動の時もそうだったが、奴等め、随分な社員教育をしてるようだな。」

僕がその名無しの凶行に驚いていると、ギコさんが冷静に言った。

ギコ「そろそろVIPの出口だ。気を引き締めていけ。」

ギコさんが固い声で呟いた。
僕は嫌がおうにも緊張して、顔をこわばらせた。


 

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