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VIPの出入り口前についた僕達はその光景に圧倒されていた。
VIPの出入り口前には信じられない数のAA達と武装したZENの黒服達が集まっていた。
おそらくコピペで数を増やしたのだろう、VIPの出入り口の外にもその集団は永遠と続いていた。
そのAAの集団は何時か見たビーグルを中心とした部隊で、中にはズレているAAまでいた。

ギコ「おそらく正確性なんて二の次でともかくコピペしまくったんだろうな。あそこまでコピペされて意識を細分化されれば、ビーグルのヤツにはもうまともな自我なんて残ってないだろうな。」

哀れな、とギコさんは呟いた。

ギコ「突っ切るぞ!!!」

ギコさんは声を張り上げた。
僕達はそのAAの集団を見てもひるむこと無く、逆に加速してその集団に突っ込んでいった。
僕達はその集団に銃弾を、刀を、包丁を、田代砲を、ひたすら目の前の障害物達に突き刺し、打ち込み、叩きのめし、走り抜けていった。

僕は自分の血に頭に上って興奮していくのを感じた。
肩に担いだ大型の田代砲をろくに狙いもつけずに目の前に迫ったZENの黒服に打ち込み、その田代砲の銃身でなぐりつける。

―――目の前の敵をぶち殺せ!
――――邪魔なヤツは徹底的に叩き潰してやれ!!!
―――――田代砲を打ち込め!!!奴等の頭を吹き飛ばしてやれ!!!

僕の周囲のコテや名無しから凶暴な感情が吹き荒れる。
彼等の感情も突撃に高ぶっている事が伝わってくる。
凶暴な感情に僕の頭が支配され、徹底的にその感情が促すとおりに田代砲を手当たりしだいに撃ち込んだ。

―――これが突撃!!!
――――これが突撃なんだ!!!!

だが、そんな僕に、撃ちもらしたビーグルのAAが向かってくる。
その瞳からは何の表情も感じ取れず、ただ敵を噛み砕こうとする機械的な意志だけが見えた。

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・・・・ッ!!」

僕が痛みを覚悟して一瞬目をつぶる。
だが、そのビーグルを僕の隣を走る騎士さんの剣が真っ二つにした。

騎士「熱くなるな。まだ突撃先にすらついていないんだ。そら、抜けるぞ!」

騎士さんがそういうと、僕達はちょうどAAと黒服達の集団を抜けるところだった。
AAと黒服の集団から抜けてVIPの外に出てみると、僕達は自分たちの人数が殆ど欠けていないことに気づいた。

ギコ「どういうことだ?奴等、たいして俺達をとめるそぶりを見せなかったな。」

ギコさんが心底不思議そうに言った。
事実、僕達があの集団を突破しそうになっていた時も、実際に突破した今も彼等は僕達をまったく追おうとしていない。
むしろ、VIPの中に入っていくことを最優先にしていたような――――
そこまで僕が考えていると、ギコさんがハッとした表情になって言った。

ギコ「奴等、俺達を止めるためにVIPの出入り口に居たんじゃない、VIPを潰しちまう気なんだ!!!!」

ギコさんのその言葉の内容に僕達は驚いて足を止める。

騎士「なるほど、あの数のAAがさらにコピペで増え続ければ、何時かサーバーの処理速度が追いつかなくなって”鯖落ち”するだろうな。」

騎士さんが得心したように言った。

騎士「どうする?このまま突撃するか?VIPに戻るか?」

それは僕達にとって重大な選択だった。
このままavexに突撃して奴等の公式ページと鯖を落としてやっても、僕達のVIPが潰れてしまったら元も子もない。
だが、ここで突撃をやめて引き返し、VIPに戻ってVIPを守れたとしても、僕達は大きく傷つくことになり、もはや再び突撃するだけの気力は無くなるだろう。
どちらを選んでもそうそう上手くいくとは思えなかった。
さらに言うなら何時までも悩んでいる時間は無い。
おそらく今頃はさっきのAAと黒服達の戦闘はVIPに辿り着いて行動を起こしているだろう。
戻るなら戻るで、突撃するなら突撃するで、さっさと決断して島罠狩ればならなかった。
今のVIPには、気力やクオリティーだけでなく、時間までなかった。

ギコ「・・・・・・・・・・突撃を続けるぞ。」

ギコさんが苦々しげな声で言った。

その決定に対して何人かは反対しようと口を開きかけた。

だが、その時、VIPのTOPページを通じて、アナウンスが響いた。

「VIPを利用するVipper諸君、聞いて欲しい。」

どこかで聞いたことがある感のする声。
僕はそれがVIPの管理運営を任されている大佐の声だと思い出した。

「今、君たちに襲い掛かっているAAや黒服は全てavexの差し金だ――――」

僕達は完全に歩みを止めてその場に立ち止まり、大佐の声に聞き入っていた。 


 

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