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僕たちがBBSに足を踏み入れると、BBSの利用者達は血にまみれた(――さっきあの男を奥に運んだときについたのだろう)僕たちを見て騒然となった。

「だから言っただろ!!!さっき外除いたら死体だらけだったんだって!!!!」
「さっき外から悲鳴みたいなの聞こえてきたもん!!!!」

どうやら、外の異常をうすうす感じつつも、そのことについて議論していたらしい。
僕らがBBSを通過してさっさと奥を目指そうとすると、彼らは恐慌状態に陥って我先にとBBSの出口を目指して殺到した。

ギコ「さっさと突っ切るぞ!!!」

ギコさんが周りの騒乱に消されないよう、大きな声で叫んだ。
瞬間、銃声が鳴り響く。
出口に殺到する流れを逆流して歩く僕らの仲間の一人がもんどりうって倒れる。
倒れた彼はあっというまに出口に向かって殺到していくBBS利用者の波に揉まれ、踏みつけられ、骨を砕かれてやがて動かなくなる。
僕はその人の波の中に、もう既に見慣れた感のある黒服を見つけた。

( ^ω^)「ギコさん、黒服がこのなかにまぎれてるお!!!!!!」

僕はギコさんに知らせようと大声を上げる。
BBS利用者の中に紛れ込んでいたavexのダミー会社、ZENの黒服達は、周囲のことなど省みず、ひたすら手にした銃を連射してくる。
BBS利用者の何人かが、ZENの黒服達の凶弾に倒れる。
その銃声を聞き、血の赤色に刺激されたBBS利用者達が加速度的にその騒乱を大きくし、出口へと突き進んでいく。

ギコ「相手にするな!!!今はここを突破することだけを考えろ!!!」

ギコさんの声が周りの騒乱にかき消されずに響く。
僕たちは黒服達から距離を取るように群集の流れに逆流して進んでいった。
BBSの、さらに公式ページの奥へと続く扉を目指した。

僕たちはその扉にたどり着くと、扉を蹴り飛ばしてその勢いのままに中に入る。
扉をくぐると、そこはBBSと同じくらいの広さをもった、広々とした部屋だった。
僕はその部屋に入ると目を見張った。
僕たちが入ってきた扉とちょうど反対側にある扉の前に、ゾヌと百以上にコピペされたビーグルの姿を捉えたからだ。
だが、僕たちは立ち止まらなかった。
時の声を上げてそのAAの群れに突撃していった。
僕は手当たりしだい、やたら滅多ら出鱈目に肩に担いだ田代砲を打ち込んでやった。
ギコさんも目の前に飛び出てきたビーグルの眉間を正確に規制銃で撃ちぬいていく。

ギコ「2chの外で規制銃がどれほど効力を発揮するがわからんが、普通の銃よりはマシだろう。」

ギコさんがそう漏らした。

敵は半月型の陣形で僕たちを包囲するように向かってきた。
その中を僕たちは針で穴を開けるように、一塊となって突撃していった。
包囲しようとする軍勢に対して少数の集団が唯一持つ利は、その突撃時の”突破力”だけだった。

騎士「俺が突破口を開く。ギコ、ブーン、お前たちはサーバーを目指してくれ。”ここは任せて先に行け”ってヤツだ。」

騎士さんが何かを託すように僕とギコさんを見た。
そして僕たちは確かにその何かを受け取り、託された。
返事はいらなかった。
合図もいらなかった。

騎士さんの剣がどんどんビーグル達を二つに下ろしていき、包囲網にわずかな空きができたうちに、僕達は包囲網を抜け出す。
だが目の前に立ちふさがるAAが居た。
ゾヌだ。
その目からは何の意思も感じられず、ビーグル達と同じく機械的に僕達を攻撃しているように思えた。

ギコさんが跳んだ。
そのままゾヌの頭上に着地するとその頭に数発の規制銃を撃ち込む。
だがゾヌは倒れない。
しかし、ゾヌの意識がギコさんに向いているうち僕のかついだ田代砲はゾヌの顔面に迫っていた。

爆発。

ゾヌはそれでも倒れずそのまま膝を突き、―――しかし僕たちが通り過ぎるには十分すぎるほどの隙を作って―――再びゆっくりと立ち上がった。
驚くべきタフさだった。
僕とギコさんがさらにavex公式ページの最深部へと進むのを見て騎士さんがどこかで聞いた事のある台詞をつぶやいた。

「あと頼む。」

その声はギコさんの後ろを走る僕以外に聞こえることはなく、やがて周りの騒音にかき消された。
僕は騎士さんから託された何かを、あの暖かさの残る心の奥に大事にしまっておいた。




 

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