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「大佐さん!敵がもう一階階段まで迫ってきてます!!!」
「正面玄関の第二小隊(プラトゥーン)と連絡がつきません!」
「第四砲兵中隊(バッテリー)を正面玄関の機関銃砲座から撤退させて第二中隊(カンパニー)の残存兵力と合わせて再編成中させます!!」

自分の無線機に飛び込んでくる報告を耳にしながら、大佐は眼前に迫ろうとしている敵を迎え撃つべく、一階正面玄関へと続く階段を下りていた。

「そうか。時間は俺が稼ぐ。その間に兵員の再編成を頼んだ。」

自分の耳に飛び込んでくる報告はどれも自分たちの劣勢を示すものだった。
屋上の砲兵、正面玄関の機関銃砲座で敵を牽制し続けるつもりだったのだが、敵の底なしとも思える兵力の前に、既に三階層からなるVIP運営陣の構造物は一階がほぼ占領されようとしていた。
だが”やはり”というべきか、そんな報告を聞きながらも大佐の表情は穏やかだった。

階段の曲がり角、踊り場を抜けたあたりで目の前にビーグルが飛び出してくる。
だが大佐は焦らず穏やかな微笑をその表情に乗せたままで、右手に機関銃のAAを素早くタイプして出現させる。

次の瞬間にはビーグルは体中を鉄の荒らしに食い散らかされ、その勢いのまま、数回階段の上を跳ねて階下へと転がっていく。
大佐はその様を眺めながら左の手にも同種の機関銃を出現させ、両手の機関銃を正面に現れた敵の集団へ向けて掃射する。
大佐の目前に迫っていたZENの黒服やAA達が鉄の雨に食い散らかされ、やがてその銃弾の嵐の着弾の衝撃のまま、ぐじゅぐじゅのよくわからない赤い肉塊へと変わっていく。
そして肉塊から千切れとんだ血や肉片が後続の敵集団に血の雨となって降り注ぐ。
莫迦莫迦しいほどに途方も無い火力は莫迦莫迦しいほどにあっけなく障害を打ち砕く。

だが、敵は自分たちの仲間の肉片を浴びても顔色一つ変えない。
avexのダミー会社でしかないZENにも、異常なまでの数のコピペを施されて、意志が細分化したAA達も、恐怖など感じる心や自我など持っていない。


大佐はそんな敵を何時もどおりの柔和な笑みで見据え、己の使い慣れた自慢の銃を見る。
――大佐は敵を前にして怯まない。
AAのモデルになった銃など大佐は詳しくは知らないが、明らかにその機関銃は携帯するタイプの軽機関銃ではなく、三脚などで固定して使うタイプの重機関銃だ。
大佐は、自分のの腕と比べて不釣合いなほど大きい重機関銃を軽々と持ち上げる。
敵の後続集団がだんだんと接近して、大佐の”馴れた距離”まで接敵してくる。

次の瞬間には大佐は飛び上がり、集団で階段を突破しようと防護盾を正面に掲げたAAや黒服達の真ん中に降り立つ。
銃声。
大佐を中心にして大きな赤い、赤い花が咲いた。
両腕の重機関銃から発砲されるたびに、とんでもない反動が大佐を襲うのだが、大佐はあえてその反動に逆らわず、反動のままに体を動かしていく。
いや、むしろ大佐は反動を利用して重機関銃を両手で連射しながらも素早く移動できているとも言えた。
反動のかかる方向を計算し、その反動のかかる方向に歩を進める。反動のおかげで大佐の動きは加速される。
まるで踊っているかのような軽やかなステップで回転しつつ、死の雨をばら撒き続ける。

敵集団も負けじと銃器を発砲するのだが、大佐の持つ機関銃の異常なまでの連射性によって吐き出される弾丸の嵐にあっという間に敵の銃弾はかき消された。
今や、一階階段は大佐の独壇場と化していた。


 

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