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・・・・・なんだろう・・・・・。
ネコのAAや警棒、包丁を持ったお兄さん達と遊んでたら急に天井が崩落してきた。
ああ、体中が痛いな。
僕はとりあえず体の上にのっている瓦礫をどかした。
そのまま瓦礫の山から這い出ようとするが、右足に痛みを感じて思わず動きを止める。
右足を見てみると、瓦礫に押し潰されて腫れ上がっていた。
おそらく骨が折れているのだろう、動かすたびに激痛が走る。
ああ、お酒が飲みたいなぁ・・・・。
僕が折れた足でよろよろと歩いていると、何かにつまづいた。
足元を見てみると、さっき一緒にあそんでいたネコのAAが瓦礫の下敷きになって倒れていた。
ねぇ、起きてよ。お酒飲もうよ。
揺さぶってみるが動かない。
ああ、この人も動かなくなってしまったのだろうか・・・。
天井がくずれるまえに、あたまをつよく殴っちゃったからなぁ・・・。
・
ねぇ、ねぇってば。
しつこく揺すぶってみるが、やはりネコのAAはピクリともしない。
仕方がないので僕は他の人を探そうとするが、まわりは瓦礫だらけで誰も居ない。
きっと他の人も瓦礫に押し潰されてしまったのだろう。
僕は足元のネコのAAに視線を戻した。
やはり動かない。
その時、脳内規制処理を施された僕の脳に、ノイズのような物が走った。
「モナー、お前も気をつけろよ。」
ノイズと共に規制された脳みそから記憶が漏れる。
これは誰の台詞だったか。
そうだ、確かギコがタカラにさらわれそうになったときに僕に言った台詞だった。
あれ?ギコって誰だい?タカラって?
・
その時、僕の足元に透明な液体が落ちたのに気づいた。
瞬間、僕の頬を伝う涙に気づく。
あれ?なんで僕は泣いてるんだい?なんで涙がでるんだい?
ん?涙ってなんだっけ?
変だな。
僕の脳内にある仕様書には笑う事と酒を飲む事しか書かれていない。
目から水が流れてきたときはどうすればいいのか書かれていない。
変だな、変だな、変だな・・・・・・・・・・・。
目とまぶたの隙間から流れる水は止まらなかった。
・
・・・・・・・・・また一人になってしまった。
僕がそう感慨にふけっている時、近くで瓦礫が跳ね除けられて僕の方へと転がってきた。
振り向くとさらに瓦礫が持ち上がり、その中から人のシルエット。
そのシルエットのさきほど火傷していた右腕は瓦礫に押し潰されて変な方向へとねじれていた。
けれど、その顔には痛みなど気にならないとでも言うように笑いながらも目だけが殺気にギラギラと光っていた。
嬉しいな。
独りぼっちになってもあんただけは来てくれるような気がしてたよ。
僕は酒瓶のAAをタイプして出現させる。
目の前の男の人もいつの間にかその左手に包丁を握っている。
視線が合うと、同時に跳んだ。
僕は片足の骨が折れているし、今もHPはサーバーの不調で揺れ続けているのだが、僕も相手もお構いなしにいつもどおりの動きで対峙した。
―――さぁ、楽しく飲もうか。
・
壊れていく世界で、崩れていく世界で、
二匹の人外が、修羅が踊っていた。
お互いの尻尾に食らいつきあう、二匹の蛇のように。
お互いの全てを食らい尽くし、やがてお互いが地上から消えてしまうかのように、
笑いながら踊り続けていた。
火がつき、血が飛び散り、天井が、足場が崩れていく地獄の釜の底で。
そこだけ、壊れていく世界で時が止まっているかのように、
二匹だけで世界の全てが完結しているとでも言うかのように、
地獄の底こそが自分たちの居場所だとでも言うように、
笑いながら踊り続けていた。
そして数分後、そこに集ったあらゆる人間の、AAの、
思惑を、希望を、絶望を、切望を、未来を、過去を、地獄さえも飲み込んでavexの公式ページが崩壊した。
公式ページを支えていたサーバーが、限界を迎えたのだった。
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