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( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・・」

瓦礫と化したavexの公式ページ後を、僕はギコさんを背負って歩いていた。
鯖落ちによって一瞬で崩壊した公式ページの構造物の瓦礫の中、僕は奇跡的に無傷だった。
体中が怪我だらけで、多少の傷ができても気づかなかっただけかもしれないが・・・。

公式ページの跡地には生き残った沢山のAA達が呆然としながら立ち尽くしたり、歩き回ったりしていた。
その中で僕はギコさんを見つけたが、ギコさんはまったく動かなかった。
呼吸はしていたのだが、今から2chに帰って治療を受けても間に合わないのは明白だった。
それでも僕はギコさんを背負って歩いていた。
2chを、VIPを目指して。

( ^ω^)「ギコさん、僕はブーンじゃありませんでした・・・。」

ギコさんから返事はない。
おそらく意識もないだろう。
それでも僕は話しかけていた。

( ^ω^)「僕は2chのAAですらありませんでしたよ・・・。」

僕の口が自虐的に歪む。

僕はブーンではなかった。
ブーンではない僕は、いまさらどうやってVIPの皆と顔を合わせればいいのだろうか。
僕には分からない。
自分自身も、これからの事も。
僕には分からない。

僕は歩き続けた。
さんざん殴られ、蹴られたのと、ページが崩壊したときの衝撃で一歩歩くごとに体を激痛が襲ったが、今の僕にそんなものを感じているだけの余裕はなかった。
精神的にも、肉体的にも。

やがて2chにたどり着いた僕は、2ch住人たちの奇異の視線を浴びながら歩き続けた。
背中のギコさんはとっくに冷たくなっていた。
それでも僕はギコさんを背負って歩き続けた。
VIPへ向けて。
VIPへたどり着いたからといってギコさんが生き返るわけでも、僕がブーンでないという事実が覆るわけでもなかった。
けれども、僕はVIPを目指す事をやめられなかった。
ただ一目、一目でいいから無事に存在し続けるVIPが見たかった。
VIPで楽しそうに語り合うVipper達の姿を見るだけで、僕はまだまだ歩き続ける事ができるだろうと思った。

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・」

僕はカテゴリー雑談2に入った。
もうすぐだ。
もうすぐVIPにたどり着ける。
シベリアを越えればそこは―――――


―――――何もなかった。

VIPのあった場所だけきれいに穴のように何もなくなっていた。

( ^ω^;)「・・・・・・・・・」

僕はその光景に言葉を失った。
鯖落ちしたとか、そういうレベルではなかった。
ex鯖そのものが完全に消えていた。

VIPが、無くなっていた。

力を失って地面に膝を突く僕の背中から、冷たくなったギコさんの体が落ちた。








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